従来のiOSのシステムは、白の背景をベースにしたインターフェイスでしたが、太陽光の強い眩しい場所など、利用シーンによっては見難くなることがしばしばあるだけではなく、ユーザーの好みによって、黒い背景のインターフェイスを利用したいケースもあります。
また、ディスプレイに表示させる際は、白と比較して、黒の方が消費電力が低いため、バッテリー消費を少しでも軽減しながら、使用したいケースもあります。それらを満たすには、iOS10までのシステムであれば、アクセシビリティのディスプレイ調整にある「色を反転」のトグルスイッチをタップしてオンにすれば、画面の色が反転し、黒をベースにしたインターフェイスに変更できました。
しかし、アイコンや写真などの色も反転してしまうだけではなく、画面の色を暖色系に変えて、夜間の利用でも目の疲れを抑止するNight Shiftが自動的に無効になる仕様となっており、あるシーンでは有用ではあるものの、他の設定と併用することが難しい機能でした。ユーザーからは、利便性や、好みから、ダークモードの搭載の声が高まり、iOS11からの正式採用がアナウンスされましたが、名称を「スマート反転」として生まれ変わり、「色を反転」からさらなる進化を遂げています。
大きな違いは、完全なるダークモードになったというところです。
iOS10の「色を反転」は、あくまでも、画面に表示される色を単純に反転させるだけのものであり、写真、動画、その他の色も反転してしまうため、正しい色で閲覧したい場合は、オフにせざるを得ませんでした。一方、iOS11から採用された「スマート反転」では、背景やインターフェイスは黒をベースにした色になりますが、写真、メディア、元々暗い色のアプリ、アプリの側で除外する設定になっているものなどは、本来の色で表示される仕様になっています。
特に、iPhoneXで採用された有機ELのOLEDディスプレは、従来のIPSディスプレイと比較して、薄く、軽く、省電力を実現した一方、太陽光下での明度の高い色の表示に課題がありますが、ダークモードによって、黒の背景に明度の高い文字が浮き出るようになり、格段に見やすくなります。ユーザーの好み、利用環境、いずれの目的であっても、新ダークモードは、よりユーザーフレンドリーで使いやすくなりました。
「設定」「一般」「アクセシビリティ」「ディスプレイ調整」と、タップするのは従来と同じですが、iOS11では、ここからが違います。つづいて「色を反転」をタップすると、さらにメニューが表示され、「反転(スマート)」「反転(クラシック)」の2つが表示されます。ここで「反転(スマート)」のトグルスイッチをオンにすれば、iOS11から採用された、いわゆるダークモード、「反転(クラシック)」のトグルスイッチをオンにすれば、iOS10までの「色を反転」が利用できるようになります。ここでの設定が、以降「ディスプレイの調整」内にある「色を反転」のオンオフに反映されます。
iOSでは、ホームボタンのトリプルクリックにショートカットを割り振ることができますが、ここにダークモードを設定することで、より少ないステップで、簡単に切り替えることが可能になります。
「設定」「一般」「アクセシビリティ」「ショートカット」とタップしていくと、割り当て可能な項目のリストが表示されます。この中から、「色を反転(スマート)」をタップし、左側にチェックマークが入れば、設定が完了です。以降は、ホームボタンをトリプルクリックすれば、ダークモードのオンオフを、簡単に切り替えることができます。
加藤清明
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